【小説が段違いにおもしろくなる】
魅力的なキャラの作り方

おもしろい小説を書く際に、魅力的なキャラクターは欠かせません。
実際、多くの作家さんが「ストーリーよりもキャラが大事」「良いキャラクターができれば、ストーリーは勝手に動き出す」と言っています。
また、「角川文庫キャラクター小説大賞」というキャラ重視の新人賞があるくらい、魅力的なキャラクターは人をひきつけるものです。
文章を書くのが好き、魅力的なキャラクターを生み出したいという気持ちは、すでに立派な才能です。
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では、そんな素敵なキャラクターはどのように作れば良いのでしょうか?
商業出版で小説を6冊出している私、クマヤマが実際にやっていた方法を皆様に紹介しようと思います。
キャラが本物の人間であるかのように味を持ち、深みがぐっと増す方法。それは、キャラにインタビューすることです。
さっそく解説していきましょう。
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クマヤマ(編集者・作家)
キャリア20年超のベテラン編集者。作家としても小説を6冊刊行。
▶ クマヤマの詳しいプロフィール
本題の前に、キャラ作りの悪い例~それっぽい要素を組み合わせるだけ~
キャラへのインタビューをおこなう前の僕は、要素をあてはめるようにしてキャラ作りをしていました。
あてはめる、とはどういうことか?
例えば、次のようにキャラ設定の原案を考えたとします。
【キャラ 原案】
| 名前 | 稲葉 |
| 性別・年齢 | 男性・20代半ば |
| 容姿 | 背の高いイケメン |
| 目的 | 日本を操るフィクサーで、政権与党〇〇党の幹事長である大門に復讐すること |
| 動機 | 20年前に大門の汚職を暴こうとしたジャーナリストの母親を殺されているから |
僕の言う「当てはめる」とは、この原案にそれっぽい要素を足していくことを指します。例えば、次のような感じです。
● 母親を殺されている → 無表情で感情を出さない
● 復讐を企てている → 孤独で友人や恋人はいない
● 背の高いイケメン → なんか強そう
この結果、次のような復讐者キャラが出来上がりました。
無表情で感情を出さず、孤独で友人や恋人はおらず、大人数相手を余裕で倒すイケメン復讐者。
どこかで見た感じがすっごくしますね(笑)。
このように、キャラクターを作るときに「それっぽい要素」をあてはめていくと、よくある量産化キャラクターになってしまいます。
平均的な要素を足していったのですから、当然といえば当然です。
そんなキャラばかりが出てくる物語が、果たしておもしろいものになるかといえば、かなり難しそうですよね。
あえての「ベタ」狙いなら、良いと思います。
でも、結果としてできあがったのがこのキャラであれば、正直、弱すぎると思います。
書き手である自分が好きになれないし、かといって心底嫌いにもなれない。つまり、書き手すら無関心のキャラでは、読者の心を動かすことはできないでしょう。
逆に自分自身が気になって仕方ないキャラばかりなら、展開のアイディアはどんどん溢れてくるでしょうし、書いていてとても楽しいはずです!
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人間味と深みを引き出すキャラへのインタビュー
前置きが長くなりまして、すみません!
それではキャラクターへのインタビューのやり方を解説していきます。
やり方は簡単。自分が聞き手になり、キャラ(今回は復讐者・稲葉)にインタビューするだけ。
ポイントは出来事ではなく、感情や思い出といった心の内面を聞くこと。それでは、実際にやっていきましょう。
実際に「キャラへのインタビュー」をしてみよう
自分)
亡くなったお母さんのどんなところが好きでした?
稲葉)
明るい性格ですね。私にも『いつも笑顔でいようね』と言ってくれてました。
だから、母さんが亡くなった後も、日常生活では笑顔を保ててはいるんです。
でも、一人になるとどうしても笑えなくて……。
自分)
それは当然ですよね。
稲葉さんは復讐者だから人を遠ざけてはいるそうですが、
本当は友達や恋人と楽しく暮らしたいですか?
稲葉)
本音はそうです。
私の復讐には巻き込みたくないから、孤独であろうとはしています。
でも、やっぱり寂しいからごくたまには飲みに行ってしまうんです。
自分はなんと弱い人間なのだろうと、そのたびに自己嫌悪に陥ります。
実は、私を好いてくれている会社の同僚がいるんです。
だけど、彼女は頭が良く勘も鋭いので、さすがに遠ざけています。
私も彼女のことは嫌いじゃないし、好意に応えたいのですが……。
自分)
ところで稲葉さんは背が高くて、いかにも強そうですね。戦うのは好きですか?
稲葉)
とんでもない。
私はもともと穏やかな性格だし、母がまだ生きていた子どものころは、太っていて運動神経も悪かったんです。
母の死後は復讐のために格闘技を習い、体を鍛えるようになりました。
ですが、戦いでは毎回ギリギリで生き残っているだけ。
自分を強いなんて思ったことは一度もありませんよ。
暴力が怖くて、毎晩震えています。
傷つきたくないし、誰かを傷つけたくもないんです。
自分)
優しい性格なんですね。
憎き大門に復讐できるチャンスが来ても、痛めつけることはできないのでは?
稲葉)
そんなことはないですよ。
絶対に復讐します。
絶対に……。
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インタビューの前と後でキャラは大きく変わる
いかがでしょうか?
インタビューを通して、稲葉のキャラクターは大きく変わりましたよね。
・無表情で感情を出さない
・孤独で友人や恋人はいない
・大人数相手を余裕で倒すイケメン復讐者
・いつも明るかった亡き母の影響で、笑顔を絶やさない。でも、一人のときは笑えない
・孤独でありたいけど、さびしくて飲みに行くこともある。互いに好き合う女性がいるが、勘が鋭いので(正体がバレそうなので)遠ざけている
・元々は肥満児で運動神経皆無。そこから鍛えただけで、いつも必死に戦っている。そもそも暴力は嫌い
稲葉の心を聞き出すことで彼の葛藤や弱さを知り、キャラの輪郭がはっきりしてきました。人間的な深みも感じられるのではないでしょうか。
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インタビューでは「出来事」ではなく「感情」を聞く
インタビューでは、何があったかという「出来事」は聞かないようにしましょう。
例えば「ジャーナリストであるお母さんは、大門の汚職を追ってどうなったのですか?」と、出来事を聞いたとします。
すると、返ってくる答えは「殺された」ですよね。ここでわかるのは事実だけ。キャラクターの理解にはつながりません。
聞くべきは出来事ではなく、「その時どう思ったか?」という感情です。
丁寧に感情を聞いていくことで、相手のパーソナリティーがわかっていきます。
これは人に話を聞く「傾聴」における初歩的かつ重要な方法の一つ。
キャラへのインタビューは、あくまでも脳内妄想です。しかし、同時にあなたとあなたによる対話でもある。傾聴の技術や考え方は、おおいに役立つはずです。
キャラを作るときは外側を塗り固めるのではなく、内面に耳を傾けることで、魅力を引き出すことができます。
「稲葉は復讐者という設定だから、インタビューがやりやすかったのでは?」
そう思われる人もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
「普通」と言われている人たちもインタビューをしてみると、意外な面がどんどん出てくるものですよ。
インタビューは時間をかけず、すぐに回答する
もうひとつインタビューのコツは、「すぐに回答すること」です。
質問はある程度時間をかけて構いませんが、聞かれたキャラはすぐに答えるようにしましょう。
なぜか? ゆっくり時間をかけて出した答えは、どうしても「よくある設定」に寄ってしまうからです。
瞬間的に答えると考える間もなく本心が出て、設定ではない人間味や深みにつながります。
あなたとキャラが何でも話せる関係であることも大切です。
キャラクターは完璧であればあるほど良いと思われがちですが、明確な欠点や弱点があるほうが親しみが湧いてきます。
あなたとキャラが親身であれば、キャラは普段は隠している「弱み」を見せてくれるでしょう。それこそが、魅力的なキャラクターを形成するキモになるのです。
以上がキャラへのインタビューの解説になります。
これはあくまで僕のやり方ですが、結構使える方法だと自負しています。
キャラクター作成で困ったときには、ぜひ試してみてくださいね!
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まとめ
①
おもしろい小説には、おもしろいキャラクターが欠かせない
②
それっぽい要素を組み合わせて作ったキャラクターは、
どこかで見たようなそれっぽいキャラクターになりがち
③
キャラにインタビューをすれば、人間的な魅力や深みが出る
④
キャラへのインタビューのコツ1
出来事ではなく感情の変化を尋ねる
⑤
キャラへのインタビューのコツ2
キャラの回答は瞬間的にすることで本心を引き出す
⑥
キャラへのインタビューのコツ3
キャラとは親身な関係になり、何でも話してもらうこと
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