
「自伝を書きたいんですけど、家族が読んだら気を悪くしないでしょうか……」
「友人のことも出てくるので、関係が壊れないか心配なんだけど……」
自伝を書こうとするとこんな不安にぶつかると言う人、実は多いのではないでしょうか。
気持ちはよくわかります。
自伝は自分を書くことであり、自分と関わってきた人のことも必ず書くことになります。
家族、友人、恩師、元恋人。
彼らがあなたの本を読んだとき、どう感じるか。それを心配するのは、ごく自然なことです。
でも、自伝は本心で書かないと意味がありません。
自伝や私小説で長所だけを書き連ね、自分をより大きく見せようとする。これも見栄です。

クマヤマ(編集者・作家)
キャリア20年超のベテラン編集者。作家としても小説を6冊刊行。
▶ クマヤマの詳しいプロフィール
自分を欺く自伝に価値はあるのか?
なぜ、自伝を書く際に本心をさらけ出さないといけないのか。
それは、一度でも自分を騙して書くと、どんどん嘘が増えていくからです。
たとえば、こんなケースを想像してみてください。
あなたの両親は小さな洋食屋を営んでいます。
幼少期、あなたは父親のことが大嫌いだったとします。
顔を見るのも嫌で、どうにかなってしまいそう。それほどの強い嫌悪感を抱いていました。
でも、そのことを書くと父親が本を読んだときに傷つくかもしれない。
だから、「父と母を尊敬していました」と書いたとします。
すると、そこから先のつじつまが合わなくなるのです。
あなたは父親が苦手だったけれど、父の職業である料理人にはなぜか強い憧れがありました。
そして、自分も調理師専門学校へ通うことになりました。
在学中、父親が上から言ってくるのが嫌で、一人暮らしをスタート。
でも、学べば学ぶほど、父のすごさがわかってきた。
久々に実家へ帰ると、父は少しやせていました。母の頭にも白髪が目立ちます。
このとき初めて、あなたは両親の洋食店を継ごうと決意したのです。
このような流れがあったとします。
人生の大きな決断と、そのきっかけ。
自伝における重要なポイントです。
ところが、「昔は父が大嫌いだった」という本心を伏せてしまうと、この流れに嘘が混ざり込んでくるんですよね。
なぜ一人暮らしを始めたのか。なぜ学校で学ぶうちに父のすごさに気づけたのか。
大嫌いだったからこそ、距離を置いた。距離を置いたからこそ、客観的に見られるようになった。
この因果関係が成立しなくなるのです。
あなたのターニングポイントなのに、本心から逸れたものを書かなければならない。
それであなたが楽しいなら、何の問題もありません。
でも、そうでないなら、偽りの自伝を綴るのは、苦行以外の何物でもないと私は思います。
全てを書く必要はない。でも、嘘はだめ
誤解のないように言っておくと、人生の全てを書く必要はありません。
人に言わなくていいことは、誰しもいくつかはあるはずです。
当然、僕にもあります。
書かないという選択は、嘘ではありません。
でも、書くと決めた部分に嘘を入れてはだめ。
事実を多少盛るのはいいでしょう。
思い出の中で勝手に美化されていたり、逆に実際より大きくなっていたりすることだって、誰にでもあるのですから。
でも、事実をねじ曲げるような嘘は絶対にいけません。
「大嫌いだった」を「尊敬していました」に書き換えるのは、完全に捏造です。
捏造をおこなった瞬間から、あなたの創作意欲は一気に冷めてしまうことでしょう。
もちろん、出来上がった原稿もそれなりの仕上がりになります。
小説でも本心をさらけ出そう
これは自伝に限った話ではありません。小説を書く場合も同様です。
「こんな残虐表現をしたら、おかしな人だと思われそう」
「過激なラブシーンを書きたいけど、自分の願望の投影だとか、うがった見方をされたくない」
こういった理由から、本当に書きたいことにブレーキをかけてしまう人は少なくありません。
気持ちにブレーキがかかれば、作品も力が抜けたものになります。
「だけど、やっぱり周囲の目が気になる」と思う人は、周りにバレないようにすればよいのです。
匿名でnoteやSNSに書く。
ペンネームでKindle出版する。
方法はいくらでもあります。
自費出版はお金がかかるものです。
だからこそ、自分が100%情熱を傾けられる状態でやるべきだと僕は思います。
そうじゃないと、お金はもちろん、あなたの時間と気持ちを無駄に消費することになってしまいます。
これは非常にもったいないことです。
今はさらけ出すことができないなら、まずは匿名で好きなように書いてみてください。
普段は言えないことを文章にして吐き出す。
自分の頭の中の空想や願望を作品として形にする。
これも創作の醍醐味のひとつです。
匿名での創作を続けるうちに、「もう隠さなくてもいい、本心を書きたい!」と思えたとき(もしくは開き直ったとき)
そのときに、改めて出版について考えればよいだけなのです。
あせらず行きましょう。
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「自分も夢中になって本を書いてみたい」
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「書き上げる自信がない。背中を押してほしい」
「一度だけ、話を聞いてもらえますか」
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私、クマヤマになんでもご相談ください。
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