自伝・自叙伝・自分史の違い|特徴とあなたに最適なジャンルを解説

自伝・自叙伝・自分史の違い|特徴とあなたに最適なジャンルを解説

自費出版では、「自分の経験を本にしたい」「自分の本を作る」と考える著者さんが多く、「自伝」「自叙伝」はとても人気の高いジャンルです。

自分がこれまで歩んできた人生を振り返り、あんなこともあった、こんなこともあったとまとめる時間はとても豊かなものになるでしょう。

いまこのページを読んでいる方の中にも、「自分史」「自叙伝」の書き方に関心を持ち、自分の体験を本に残したいと考えている人は多いはずです。

しかし一方で、こんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

「自伝とか自叙伝とか自分史とか回想録とかいろいろあるけど、何が違うの?」と。

人生をまとめるジャンルには、よく耳にするだけでも次のような種類があります。

主な自分の人生を綴ったジャンル

自伝
自叙伝

自分史
回想録

回顧録
見聞録
人生録
半生記

人生記
体験記
手記
日記
日誌
私記
私小説
エッセイ

どれも書店や図書館で見かけますが、その違いを正確に説明できる人は多くありません。

そこで今回は、自伝に似たジャンルの意味や特徴、そして「回顧録と回想録の違い」「私小説の意味や代表作」といったポイントをわかりやすく解説していきます。

自分で本を作るとき、あるいは自分史の表紙タイトルを考える際などの参考にしてください。

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自伝とは → 自分で書いた自身の伝記

自伝の意味

自伝は「自分で書いた自身の伝記」のこと。小学館の「精選版 日本国語大辞典」には、自叙伝と同じ意味だと書かれています。

自伝と自叙伝の違い

自伝と自叙伝では、何が違うのか。多くの人が気になっていると思います。

結論から言いますと、自伝と自叙伝はこれといった違いはなく、同じものと言えます。

「自叙」は自分について述べることをいい、一時期、西洋の文化として捉えられていたとか。

あなたの本が海外での生活や仕事、文化について多く書かれていたり、横書きで書かれていたりと西洋の要素が強いのであれば、「自伝」ではなく「自叙伝」としてもよいのではないでしょうか。

自伝の解説

自分の歴史を綴った本の中でも、主に著名人の書くものは「自伝」と呼ばれることが多いようです。

自叙伝とは → 自分の生い立ちを書いた文章

自叙伝の意味

自分の生い立ちや経歴などについて、自ら文章化したものが自叙伝です。

先述したとおり、自伝と同じ意味になります。

「自斜伝」と書かれることがありますが、これは誤り。「斜」ではなく「叙」です。

自叙伝の解説

「自叙伝」という言葉は、明治後期に広まったそうです。ちなみに「自伝」はそれよりも早くから使われていました。

回想録、回顧録とも近い意味を持つとされています。この2つは社会について述べる比重が大きいのに対し、自叙伝(自伝)は自分自身にスポットを当てる割合が大きいです。

自分史とは → 自ら綴った自身の歴史

自分史の意味

自分自身の歴史を自らの筆で綴ったもの「自分史」と呼びます。

「庶民の個人史」ということで、昭和末期に大きな話題となりました。

「自分史」という言葉が生まれたのは、1975年(昭和50年)のこと。歴史学者である色川大吉氏が著書「ある昭和史 -自分史の試み-」(中央公論社)の中で使ったことが発端になりました。
そして、この書が30万部を超えるベストセラーになったことから、第一次自分史ブームが起こりました。

あやめ自分史センター 公式サイトより引用させていただきました。
https://jibunshi-center.jp/whats-the-jibunshi

自分史の解説

自伝・自叙伝と自分史。どれも自分で自分について書いた本ですが、両者には明確な違いがあります。

自伝・自叙伝
政治家や大企業の経営者、スポーツ選手など著名人が書いたもの

自分史
主に一般人が自分について書いたもの

近年では多くの転職サイトやエージェント会社が、転職希望者や就職希望者に自分史を書くことをすすめています。企業に見せるのではなく、自分史を書くことを通して自己分析するのが狙いです。

自分史は、いわば人生の棚卸し作業。
これまでの経験を振り返りながら、自分だけの物語を一冊の本にまとめる――そんな時間は、きっとあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。

回想録とは → 特定の出来事を振り返る柔らかめの文章

回想録の意味

回想録とは、過去にあった特定の事件や出来事に関係した者が、当時のことを回想して綴った記録的な本のことをいいます。

回顧録、回想記とは同じ意味として使って問題ありません。

回想録の解説

これまでの人生をバランスよく振り返るというより、多くの人が興味を抱くような事件や出来事にスポットを当てる場合には、「回想録」や「回顧録」とするのがよいでしょう。

回顧録とは → 社会的な出来事を振り返る硬めの文章

回顧録の意味

回顧録は過ぎ去った過去を思いかえした内容のことで、回想録と同じ使い方をして間違いはありません。

ですが厳密にいえば、少し意味合いが異なる印象です。

回顧録の「顧」の字は「顧みる」ということ。
自分の過去を振り返ることで、改めて教訓や発見を得るというニュアンスがあります。

一方の、回想録の「想」はもう少し明るいイメージ。「想を練る」「想をめぐらす」はクリエイティブな前向きの言葉です。

回顧録の解説

回顧録と名のつく本には、洋の東西を問わず政治家や実業家、あるいは学者などの知識人が目立ちます。

下記の代表的な作品で紹介するライス元国務長官オバマ元大統領メルケル元ドイツ首相に、日本では安倍晋三元首相日本人初の国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんなどが「回顧録」を出版しています。

回顧録と回想録の違い

一般的には回顧録と回想録は同じ意味で使われますが、自費出版の際には、下記のように使い分けるのが良いでしょう。

・政界や財界、大学や研究所などで働いていた
・文章がかなり硬い
・社会的な意義や注目度が大きい出来事を綴っている
・執筆の中で新たな教訓や気づきを得た
→ 回顧録

・政財界などには関係がない
・比較的柔らかめの文章で綴られている
・喜怒哀楽を含んだ共感を呼ぶ描写が多い
・特定の出来事を中心に書いている
→ 回想録

昔の出来事を綴る回顧録と回想録。過去を振り返る過程において、友人に話を聞いたり、郷里の親族に相談したり、旧知の人に時間を割いてもらうこともあるかもしれません。

協力してくれた人たちに感謝の気持ちを残したいときは、奥付(おくづけ)に名前を載せるという方法があります。

奥付とは、通常、本の最後にある制作陣の名前が記載されているページのこと。

あなたが本をつくるときも原則必要になりますので、奥付の書き方やルールについて知っておくとよいでしょう。

見聞録とは → 見て聞いて得た知識

見聞録の意味

見聞録の読み方は「けんぶんろく」です。

読んで字のごとく、実際に自分で見たり聞いたりして得た知識を「見聞録」といいます。

見聞録の解説

マルコ・ポーロの「東方見聞録」があまりにも有名すぎるため、「〇〇見聞録」というタイトルはパロディーっぽさが出て、ポップなイメージになりがち。

ですが、これは悪いことではありません。

あなたの人生や体験、見識、旅の記録などを明るく楽しく伝えたいときには、あえて「〇〇見聞録」とすることで親しみが出ますし、内容をイメージしやすくなります。

備忘録とは → 必要なことを書き留めたメモ

備忘録の意味

備忘録は「びぼうろく」と読み、忘れてしまったときの備えとして、必要なことを書き留めておいた文章やメモ書きのこと。
「手控え(てびかえ)」「忘備録(ぼうびろく)」と同義語です。

備忘録の解説

あなたの書く自伝が、ととのった文章でなければいけない理由なんてありません。

素直な感情を残したメモ書きだからこそ、臨場感が伝わるということもあるのです。

また、そのメモを取ったときの自分を改めて振り返ることで、より深みのある人生語りになるのではないでしょうか

半生記とは → 半生を綴った文章

半生記の意味

「半生」とは生涯の大部分のこと。「半生記(はんせいき)」とは、大人になってからこれまでの人生を綴った本を指します。

半生記の解説

「大人になる」が何歳を指すかは人によってまちまちだと思いますが、ほとんどの人にとっての半生記は社会での出来事、つまりは仕事に関わる話がメインになってくるでしょう。

● 一流大学を出て入社した上場企業がまさかの倒産。そこから這い上がった男性の物語。
● 離婚を機にシングルマザーとして子どもを育てつつ企業した女性の立志伝。
● 下記で紹介する、芸事に打ち込んだ一人の落語家のストーリー。

など、山あり谷ありのビジネス人生は「半生記」として書いてみるのも良いでしょう。

人生記とは → 自分の人生を記した文章

人生記の意味

実は「人生記(じんせいき)」という言葉は、今回使用した辞書(小学館の「精選版 日本国語大辞典」)には載っていませんでした。信頼できるweb辞書にも記載はありません。

一方で、「人生記」が含まれたタイトルの本は多く出版されています。

意味合いとしては「人生を記したもの」であり、自伝と同じ意味と考えて問題ありません。

人生記の解説

半生記は大人になってからのことですから、「人生記は生まれてからこれまでを綴ったもの」と考えるのが自然です。

あなたが一冊の本として書き記したいものが「大人になってから今まで」なら「半生記」とタイトルに入れるのがよいでしょう。

一方で、「生まれてからこれまでの人生をすべて書きたい」ということであれば、「人生記」となります。

自伝を出版する費用の目安や内訳についてはこちらの記事で詳しく解説!

体験記とは → 体験を事細かに記録したもの

体験記の意味

「体験記(たいけんき)」は、自分の体験した事柄について書いた本のことです。

見聞録は観察者としての意味合いが濃く、体験記は自分も試してみた実践レポート的なニュアンスが強いと言えます。

体験記の解説

タイトルに「体験記」と入っている本は、潜入ルポや「試してみた」的なエッセイ漫画が多いです。

「〇〇記」とつくものはすべて、広い意味での「体験記」と言えます。

エネルギーと時間を費やしてがんばった「奮闘記」や、ある場所や人物を訪ねた「探訪記」、そして下記で紹介する「留学記」などがあります。

手記とは → 体験した事柄を詳述したもの

手記の意味

自分で書き記すことや、その文書のことを「手記」といいます。読み方は「しゅき」です。

主に体験した事柄について詳細に記したものを「手記」と呼ぶことが多いです。

手記の解説

ある大きな出来事に遭遇したり、巻き込まれたりしたときに、自分だけでなく社会のためにも人知れず書き残していたもの。

手記にはそのようなニュアンスがあります。

日記とは → 1日ごとに記録した文章

日記の意味

実際にあった出来事に日付をつけて、1日ごとに記録した文章が「日記」です。

基本的には毎日つけるものなので、著者の心情や取り巻く環境の小さな変化も見て取れるのが特徴であり魅力です。

日記の解説

日記をつけている人なら、多少の加筆修正を経て、そのまま出版することも可能です。

フォレスト出版では「〇〇日記」というタイトルで、様々な境遇にいる人たちの本を出版しています。

おもしろい経験を持っている人は、出版社に売り込みにいくのもよいでしょう。

日誌とは → 日々の出来事や感想を書き留めたもの

日誌の意味

「日誌」は毎日の行動や感想、出来事を書き留めた記録のこと。

これだけだと日記と同じですが、日記と日誌には明らかな違いがあります。

また、職場でよく使われる「日報」も大きく意味が異なります。

日記と日誌の違い

日記……自分だけが読む目的で、日々の出来事を記録したもの。

日誌……第三者が読むのを前提として、日々の出来事を記録したもの。

つまり、自分だけしか読まないものが「日記」で、誰かが読んでも構わないのが「日誌」ということです。

日記の方がより本音に近いことが書かれていますが、それだけに出版するのはかなり勇気がいりそうです……。

ちなみに日報は、上司や同僚など職場の人間への報告のために、日々の出来事や作業の進捗状況等を記録したものです。

日誌の解説

日誌は人に読んでもらうのが前提なので、日記よりは少しフォーマルな文章を心がけるとよいでしょう。といっても、無理に形式ばった文章にする必要はありません。読みやすさを心がけるだけでもかなり違ってきます。

私記とは → 公的な出来事を個人が記したもの

私記の意味

公的な出来事や著名人に対しての記録を個人が書き記したものが私記です。

著名人が自分のことを書いたものと思われがちですが、そうではありません。

誰もが知るような有名人のことを、その人ではない第三者が記録した本のことです。

私記の解説

かなりざっくり言えば、出来事や人、組織などを自分の視点で記した個人的な記録のこと。

いわば感想文のようなものです。

感想文というと「読書感想文」などの幼いイメージを持たれてしまうかもしれません。「私記」とすることで、きちんと書かれた文章だと思ってもらえます。

私小説とは → 作者自身の体験を素にした小説

私小説の意味

作者自身の体験を素材に、作中で心境や感情を描写する小説を「私小説」といいます。読み方は「ししょうせつ」。

私小説の一人称は必ず「私」でなければならないと思われがちですが、そうではありません。

確かに主人公が「私」であることは多いですが、それ以外の一人称もよく出てきます。

私小説の解説

「虚実皮膜(きょじつひまく)」という近松門左衛門の言葉があります。

芸事や芸術は嘘か本当かわからないギリギリのところにあるという意味です。

私小説も同様。あくまでも実体験をベースにした創作であり、ノンフィクションではありません。嘘も勘違いも願望も後悔も情念も渇望も。

作家の様々な感情が渦巻く「事実と虚構」のあわい。それこそが私小説の魅力なのです。

あなたが自分の人生を本にしたいと思い立ったとき、「あの時に別の選択をしていたら、果たしてどうなっていたんだろう」と今も思う出来事があるのなら、それを題材にした私小説を書いてみるのもきっと刺激的な体験になるはずです。

エッセイとは → 実際のテーマを自由に書いた文章

エッセイの意味

見聞きしたことや経験したこと、物事への感想など。

実際にあったあらゆることをテーマに自由な形式で書かれた文章をエッセイといいます。英語では「essay」と書きます。

テーマも書き方も自由で気軽に書けることから、自費出版においても人気のジャンルです。

私小説とエッセイの違い

私小説とエッセイの違いは、創作であるか否かという点です。

私小説は著者の実体験がベースであるものの、フィクション要素が多分に含まれる創作です。
一方、エッセイ事実の出来事を著者独自の切り口や文体で書いたものです。

エッセイの解説

エッセイは自伝というよりも、著者の日常を切り取ったもの。もっと言えば、著者の思考や感受性をそのままオープンにした表現です。

題材は大事件でなくて構いません。
むしろ、「定食屋の漬物がおいしすぎて遅刻した」といった小さな出来事のほうが、情景が浮かびやすくて魅力的とも言えます。

センスが問われがちだと思われるかもしれませんが、そんなことは気にしなくて大丈夫。
飾らずに素の自分と向き合いながら楽しんで書ける。それこそがエッセイの魅力です。

ちなみに下記で紹介の小原晩さんは、自費出版で火がついた作家さん。

200部からスタートした本が書店やSNSで「おもしろい!」と話題になって、増刷に次ぐ増刷。ついには1万部の大ヒットを記録しています。

小原晩さんのヒットのケースをはじめ、自費出版での成功例は下記の記事にまとめています。

まとめ


自分の経験を本にしたい人は、
自伝以外にも様々な選択肢がある


人生のどこにスポットを
当てるかによって
ジャンルは変わってくる


過去に後悔がある人は
私小説で願望を叶えるのもあり

出版準備を進める際は、こちらの記事をぜひ参考にしてください。

ここまで読み進めていただいたなら、「自分にはどのジャンルが合いそうか」の輪郭は、だいぶ見えてきたのではないでしょうか。

あとは、それをどんな一冊の物語としてまとめるかを考えていく段階です。

とはいえ、一人で構成を考えたり、どこまで書けばよいのか判断したりするのは、簡単ではありません。

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