自費出版の詐欺・カモ対策
【トラブル回避法】
④ 在庫・印税トラブルの確認事項

自費出版についてネットで調べていると、「詐欺」や「トラブル」といった不安を感じる言葉を目にすることがあります。
ですが、結論から言えば、現在の自費出版会社で明確に詐欺行為をしているところはまずありません。
他方、過去には有名な自費出版社が著者とトラブルを抱え、最後には破産するといった出来事があり、いまも不安を抱く人がいるのも当然のことです。
このコーナーでは、そうした不安を感じている方のために、自費出版で起こりうるトラブルを4つの段階に分けて解説してきました。
今回はラストとなる4段階目。
「本の出版後」に起こるかもしれないトラブルを回避する方法についてまとめました。
万が一にも詐欺やトラブル、カモにされるといったことがないよう、あるかもしれないトラブルとそれを避ける方法を知っておくのはとても大切なことです。
この記事は、自費出版のトラブル回避法をプロセス順に解説する4部構成の「第4部」です。
まだ読んでいない方は「① 悪質業者の見分け方」からお読みください。
それでは「本の制作段階」で想定されるトラブルや詐欺まがいの行為と、その具体的な回避法を解説していきます。

クマヤマ(編集者・作家)
キャリア20年超のベテラン編集者。作家としても小説を6冊刊行。
▶ クマヤマの詳しいプロフィール
自費出版の本の完成後に起きやすいトラブル&回避法
注意度 危険
売れると言われたのに売れなかった

出版社から「確実に売れます!」と言われたのに売れず、在庫の山…
必要な部数だけを冷静に判断しましょう
「必ず売れます」「ヒット間違いなし」と言われたのに、実際にはほとんど売れず、自宅に大量の在庫を抱えることになった。自費出版に関するトラブルを調べる皆さんが、特に気になっているのはこのことでしょう。
まず、正直なところ、あなたの本が絶対に売れる可能性は高くはありません。
出版不況でプロの有名作家も苦戦している昨今、無名作家の本がいきなりヒットを飛ばすのは非常に難しいからです。
近年では「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」が1万部の大ヒットを出した小原晩さんの例もありますが、極めてまれ。小原さんの本も200部からスタートしています。
営業のセールストークでその気になって大量に印刷し、在庫の山を抱えることがないよう、部数は冷静に判断するのが大切です。
もし大量の在庫を抱えてしまった場合、古本屋に持ち込んでも同じ本を何冊も買い取ってはくれません。生活を圧迫するようであれば出版社に相談して、処分してもらうのがベターな選択。
自分の本を処分するのは結構悲しい気持ちになるので、そういう意味でも部数の決定は客観的な判断を大切にしてください。
注意度 危険
「契約期間終了」だと在庫を押し付けられた

「契約期間が終わった」と、本の販売が終わり、在庫を押し付けられた。許せません!
「契約終了後の扱い」を確認しましょう
自費出版の出版社は「契約期間」を設定している場合があります。
例えば契約期間が1年間の場合、2025年4月5日に販売が開始された本は、2026年4月4日をもって書店やネット等での販売が終了となるといったイメージです。契約の期間や内容は出版社や著者によって異なります。
通常、契約終了時の在庫は出版社が処分(有料の場合も)するか、著者に全部送るかの二者択一になります。
このとき、自分の本は永遠に販売され続けると思い込んでいた著者が「お金だけ取って売らないのは詐欺だ。しかも在庫まで押し付けてくるなんてひどすぎる!」と憤慨するケースもあるでしょう。
こうした行き違いを防ぐためには、「契約終了後の扱い」をあらかじめ確認しておくことが欠かせません。
契約期間が終わった後は販売を継続するのか、在庫はどうするのか、そもそもとして契約期間はどのくらいの長さなのか。
これらを明確にしておくことで、後々のトラブルを大幅に減らすことができます。
注意度 危険
本当に広告を出しているか怪しい

高い宣伝広告費を払ったのに、どこで宣伝されたか教えてもらえない
どこで、いつ、どのくらい宣伝するのかを明確に
新聞には本の新刊案内の広告がよく掲載されています。実はお金さえ出せば、自費出版の本でも新聞広告を出すことが可能です。
新聞だけではありません。雑誌やネットメディアなどにも、広告を出すことはできます。もちろん広告費はかかりますが、自分の本をたくさんの人に知ってもらうことで、売れ行きが伸びる可能性はあります。
自分の本の広告を出す際には出版社を経由することがほとんどですが、その場合は広告の媒体・期間・規模を契約前に必ず確認すること。新聞なのか、雑誌なのか、Webなのか、出版社から具体的に明示してもらいましょう。
あいまいな説明のまま承諾してはいけません。「どこで・いつ・どのくらい」の広告を出すのかを明確にし、コストを加味したうえで判断してください。
ちなみに広告を出したからといって、その費用分がまかなえるとは限りません。売上よりも広告費が高くて損をしてしまう可能性もありますので、そこは念頭に入れておきましょう。
注意度 警告
どの書店にも自分の本が置いてない

全国流通すると言われたのに、近くの書店に置いてない。これって詐欺ですよね?
書店の棚に並ぶか否かを事前に確認
「全国に配本します」「全国流通です」と言われても、実際には書店に陳列されない、あるいはすぐに撤去されてしまうケースがあります。
配本や流通とはあくまでも「書店に本を送ること」で、棚に並ぶかどうかは書店の判断となります。書店もビジネスですから、限られた売り場スペースには売れる本や話題の新刊を置きたいからです。
したがって「必ず書店に並びます」と説明されたら、それが本当に陳列を保証しているのか、単なる配本なのかを確認することが不可欠です。
ベストセラーや話題作を差し置いて自著が置かれるのかを冷静に考えましょう。
また、出版社によっては自社で書店の売り場の一角を確保していることもあります。その場合は、どの書店のどの場所でどれくらいの期間置いてくれるのかを具体的に確認しておくと安心です。
注意度 警告
不良品が納品された

汚れているわページが抜けているわ。粗悪な本が完成品として納品されて怒ってます!
出版社に原因を確認したうえで正常な本を納品してもらう
完成した本を手に取ってみたら、何かがおかしい。調べてみると、ページの順番が入れ替わっている「乱丁」や、ページそのものが抜けている「落丁」がある。
また、印刷がかすれていたり、ムラがあったり、インク汚れが目立つことも。こうしたケースは多くありませんが、万一見つけた場合は、必ず出版社に伝えましょう。
編集、入稿、印刷、製本。いずれかの工程でミスが起きたということですから、原因を確認したうえで、改めて正常な状態の本を納品してもらう必要があります。
もちろん、自分に非がなければ印刷のやり直しが発生しても追加料金を支払う必要はありません。
注意度 注意
担当編集者と険悪な関係に

何かにつけて出版社の担当者と揉めるようになって、険悪な関係に…
著者と出版社が互いに敬意を持ちましょう
自費出版における「揉め事」は、詐欺や悪意によるものではなく、コミュニケーションの行き違いが原因となるケースが大半です。
出版社の常識と、出版に不慣れな著者の常識。そのズレが誤解を生み、深刻な不信感へと発展してしまうケースも考えられます。
現在の自費出版社のほとんどは、著者を騙すことを目的にはしていません。だからこそ、最初から疑いの目で見るのではなく、疑問があれば遠慮せずに確認する姿勢が大切です。
著者と出版社。お互いが敬意を持ち、オープンに質問できる関係を築ければ、不必要な衝突は避けられます。
また、不満があればため込まず、冷静に話す機会を設けるのも良いでしょう。
注意度 注意
本の定価100円にしたら却下された

定価を決めていいと言われたので100円にしたら却下された。どうして?
おかしな価格設定は全員が信用を損ないます
「話題になりたい」
「とにかく多くの人に買ってほしい」
そんな理由で、極端に安い値段や高い値段をつけることはできません。
例えば1冊100円で売りたいと考えても、出版社は以下の理由から了承しないでしょう。
・ブランドの棄損につながり「安かろう悪かろう」と見られてしまう
・まともな本ではないと読者や書店に思われてしまう
・書店の販売利益は定価の22%。100円なら1冊売ってたったの22円なので、置いてもらえない
では逆に、1万円など極端な高額にするのは問題ないかといえば、それも違います。内容が価格に見合わなければ、出版社や著者の信用を著しく損なうリスクが高まるからです。
本の定価で奇をてらうのではなく、中身のおもしろさで勝負しましょう。
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