自費出版の成功例4選|ヒットの理由と再現できるポイント

当サイトを訪れる方の多くが、「自費出版 成功例」というキーワードで検索されています。
多大な時間と労力、そして費用をかけて本を出すからには、成功させたいと願うのは当然のことですよね。
では、自費出版における「成功」とは、いったいどのような状態を指すのでしょうか?
本が売れるのは当然として、ほかにも「成功」と呼べるものがあると僕は考えています。
次の4つが、代表的な成功のかたちです。
① 本がヒットする
多くの人に読まれ、広く知られること
② 有識者、専門家として認められる
講演会やセミナー、メディア出演に繋がること
③ 自分という存在を深く知ってもらう
作品を通して「自分」の内面を表現し、理解を得ること
④ 自己成長を実感する
執筆を通して自信を得て、人間的に大きく成長すること
これらの成功事例を、一つずつ具体的に見ていきましょう。

クマヤマ(編集者・作家)
キャリア20年超のベテラン編集者。作家としても小説を6冊刊行。
▶ クマヤマの詳しいプロフィール
自費出版の成功例① 本がヒットする
自費出版の成功といえば、まずはシンプルに「本が売れること」が挙げられます。
本屋さんやAmazonで自分の本が飛ぶように売れ、ヒット作家の仲間入りを果たす。誰もが一度は夢見ることでしょう。
しかし率直に言って、本がヒットする可能性は低いのが現実です。
出版不況と言われる現在、有名な作家の新作ですら初版が3000部~4000部程度ということも珍しいことではありません。
それを考えれば、無名の著者の自費出版が自力で大ヒットを飛ばすのがいかに難しいかお分かりいただけると思います。
自費出版から1万部ヒットを飛ばした小原晩さんの事例
厳しいことを言ってしまいましたが、自費出版から大ヒットを飛ばした人も、もちろんいます!
その代表例が作家の小原晩さんです。
小原さんは1996年生まれ、東京都八王子市出身の作家です。
「北欧、暮らしの道具店」でのエッセイ「お星さんがたべたい」や、「小説丸」での小説「はだかのせなかにほっぺたつけて」などの連載で、小原さんの文章を読むことができます。
高校卒業後、美容師の道へ。美容師だったお母さんに憧れて、この仕事を選んだそうです。
その後、2022年に実業之日本社からエッセイ「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」を自費出版で刊行。
わずか200部という小さなスタートでしたが、お笑いグループ「ダウ90000」の蓮見翔さんや、芥川賞作家でもある芸人・又吉直樹さんが絶賛。その評判が広まりました。
結果、自費出版としては異例となる1万部超えの大ヒットを記録。
さらに大和出版から商業出版の依頼を受け、2冊目のエッセイ「これが生活なのかしらん」を刊行しました。現在も多くの連載を抱え、精力的に執筆活動を続けています。
小原さんの自費出版本が大ヒットしたのには、いくつかの理由があります。

小原晩さんが成功した3つのポイント① 本としての質が高い
ひとつは、シンプルに読み物としておもしろかったということ。
僕も商業出版バージョンのほうを買って読みました。感想としては、「人生の味わい方」を教えてくれる本だと思いましたね。
楽しいことも、悲しいことも、腹を立てたことも。人生で何度と繰り返されるごくごく小さなことも、つい見なかったことにしたくなることも。
あらゆる出来事をもぐもぐと食べて、「ふんふん、こんな味がするんだ、なるほどなるほど」と言っているような、そんな印象を受けました。
装丁もとても素敵で、ついつい手を伸ばしたくなるあたたかみのあるビジュアルだったのもヒットの理由にありそうです。
小原晩さんが成功した3つのポイント② 自分で書店回りをした
小原さんの本が広まった背景には、書店員さんの力も大きく寄与しています。
出版後、小原さん自身が独立系書店を訪れ、本の取り扱いを直接依頼。
どうしてここに置いてほしいのか?
自分の本はどういう本で、どういうことを大切に書いたのかというのを書いた上で
「よければ見本をお送りさせてください」とメールをお送りました
「フリーナンスマグ」のインタビュー記事より引用させていただきました
(https://freenance.net/media/interview/34262/#i)
その積極的な働きかけが実を結び、いくつかの書店で注目を集めるようになりました。
独立系書店とは大手チェーンではなく、小さな会社や個人が運営している書店のこと。
デザインの本ばかりを扱うお店や、旅行の本をメインに扱うお店など、本の仕入れには店主の趣味や意向が反映されることが多いです。
お客さんも同じ趣味の人が多いので、お友達になったり、書店でのイベントで交流広がったりと、本を買う以外の楽しい体験も魅力です。
小原晩さんが成功した3つのポイント③ SNSで有名人が絶賛した
小原さんの成功要因のひとつに、蓮見翔さんや又吉直樹さんといった著名人がSNSやメディアで本を絶賛したことが挙げられます。
エンタメ業界の若き才能として注目を集める蓮見さんと、芥川賞作家の又吉さん。
「センスが高く、読書家でもある彼らが推薦するなら、面白いに違いない!」
そう考えた多くの人が手に取り、実際に読んだ読者からもSNS上で称賛の声が続出。
こうした反響がさらなる人気を呼び、結果として大ヒットにつながりました。
有名人がSNSで取り上げてくれるかは運の要素が大きいでしょうが、本の質を高めたり、書店を回ったりは自分でもできます。
まずは、自分でも納得できる本を作る。それができたら、好きな本屋さんに売り込みに行くのも良いのではないでしょうか。
自費出版を成功させる手順は、こちらの記事をチェック!
あの文豪も自費出版だった!歴史に残る成功例
実は、教科書に掲載されるような有名な文豪の中にも、自費出版で道を切り開いて成功を手にした人は結構います。
彼らは自身の作品を世に送り出すための積極的な手段として、自費出版を活用していました。
日本を代表する文豪・夏目漱石の代表作の一つ「こころ」も、実は自費出版。
当時の漱石はすでに売れっ子作家でしたが、制作費を負担しただけでなく、装丁まで自ら手がけたそうです。
その理由は、門下生のような存在だった岩波書店の創業者・岩波茂雄に頼まれたから。気難しい性格といわれることの多い漱石ですが、友人を大事にする一面もあるようです。
NHKの朝ドラ「らんまん」のモデルになった植物学者・牧野富太郎も、自費出版で図鑑を刊行しています。
自費出版で本を出した有名作家は、ほかにもいます。
島崎藤村の代表作「破戒」は、1906年に自費出版されました。その後、1913年に新潮社が権利を買い取り、商業出版されています。
また、日本を代表する名作のひとつである谷崎潤一郎の「細雪」も、実は自費出版でした。
1936年に限定200部で発行され、その後、大々的に刊行されました。
宮沢賢治も1924年に「春と修羅」を自費出版しています。初版は1000部。代表作「注文の多い料理店」も、最初は自費出版だったといわれています。
最近では、絵本作家のヨシタケシンスケさんも、1999年にイラスト集を自費出版。2022年には白泉社から復刻されています。
| 著者 | 作品名 | 自費出版に至った背景 |
|---|---|---|
| 宮沢賢治 | 春と修羅、注文の多い料理店 | 1924年に「春と修羅」「注文の多い料理店」を自費出版。死後にその文学的価値が再評価され、日本を代表する作品に。 |
| 谷崎潤一郎 | 細雪 | 第二次世界大戦下の厳しい出版統制により、刊行が許可されず、知人に配る目的で自費出版。 |
| 島崎藤村 | 破戒 | 当初は自費出版でしたが、1913年に新潮社が高額で買い取り、商業出版された。 |
| 山田悠介 | リアル鬼ごっこ | 自費出版で大ヒットを飛ばした代表例。大手自費出版社の文芸社から2001年に刊行。自費出版では異例中の異例となる累計200万部を突破。映画化もされた。 |
| ビアトリクス・ポター | ピーターラビットのおはなし | 出版社に何度も持ち込むも断られ、1901年に自費出版。その後、世界36カ国で4300万部を売る超ベストセラーに。 |
自費出版の成功例② 有識者として講演会やメディアに出演する
Amazonのキーワード検索から、予期せぬ広がりも
自費出版には、予期せぬ広がりを生む力があります。その代表的なものが、有識者として講演会やセミナーへの登壇に繋がることです。
例えば、あるテーマに関するイベントを企画している担当者が講演者を探す際、Amazonで関連書籍を検索することが考えられます。
そこで、もしあなたの自費出版の本が専門的で信頼できる内容だったとしたら、担当者は「この人に話を聞いてみよう」と思うでしょう。
たとえ無名の著者であっても、その本のクオリティが著者自身の専門性を雄弁に物語ってくれるからです。
そうした本を書いた著者が、講演会に招かれたり、自治体や企業から冊子への寄稿を依頼されたりするケースは実際に存在します。そこをきっかけに、人生が動き出すこともあるのです。


テレビ番組でマツコ・デラックスさんと共演
テレビ番組「マツコの知らない世界」では、ニッチな分野の本を自費出版している人が、その道の専門家として登場することが過去に何度かありました。
彼らは大学教授や研究者といった肩書きがなくとも、自分の世界を深く掘り下げたことで、「その道の第一人者」として認められたのです。
プロの編集者である僕自身も、仕事で資料集めの際に購入した本が自費出版だったという経験は何度かあります。
この経験からもわかるように、商業出版か自費出版かなんて、ユーザーは気にしていません。
大切なのは本の中身。その本に何が書かれているか、どれだけおもしろいのか、自分の知的欲求をいかに満たしてくれるか。そして、著者と内容がどれほど信頼できるかという点なのです。
自費出版の成功例③ 自分という存在を深く知ってもらう
「自分を深く知ってもらえること」。
これもまた、自費出版における一つの成功例だと私は思っています。
あなたがどういう人間なのか?
どんな人生を歩んできたのか?
これから何をなそうとしているのか?
自分自身と丁寧に向き合い、心を開いて書き上げた一冊の本は、自分を表現し、他者に知ってもらうためのとても有効な方法となります。
自分史や自伝ではなく、小説や絵本といったフィクション作品であっても、作品には著者の思想や感性がにじみ出ます。作品を通して伝わるメッセージから、他者はあなたという人物を知ろうとするのです。
「本当の自分を伝えたい」
「本当の自分を知ってほしい」
そんな望みが叶い、満たされることもまた、自費出版における成功のひとつと言えるのではないでしょうか。
自費出版の成功例④ 本の執筆を通して自信を得て、人間的な成長と広がりを実感する
一冊の小説を書く。一冊の絵本を描く。あるいは、これまでの作品をまとめた写真集をつくる。
文章でも絵でも写真でも、一冊の本を作り上げるのは、思っている以上に大変な作業です。
執筆期間は数カ月。中には何年もかけて完成させる場合も珍しくはありません。
だからこそ、一冊を書き切った経験は何にも代えがたい達成感と、ゆるぎない自信につながります。
「本を書いてみたい」と思う人は大勢います。ですが、最後まで書き上げる人はごくわずかです。
知り合いの小説編集者さんは、「100人に1人も書き切れないのではないか」と言っていました。
かくいう私も、初めて長編小説に挑戦したときは、何度も挫折しかけました。
それでも、すんでのところで踏みとどまり、なんとか書き切ることができました。
だからこそ、書き終えたときは大きな満足感と達成感、爽快感を味わうことができました。
執筆で得られるのは「清々しい達成感」と「一生ものの自信」
さて、作品を最後まで書き上げると、何が起こるのでしょうか。
まずは言うまでもなく「完成させた」という達成感です。
清々しい解放感と、ほんの少しの寂しさが入り混じったような、特別な気持ち。これは何度味わってもいいものです。
それ以上に大きいのが、「自分は一冊を書き切ることができた」という自信です。
この自信は、次の挑戦への原動力になります。
今までは「どうせ自分には無理だ」と感じていたことにも、「やってみよう。自分ならできるはずだ」と思えるようになる。
いわゆる「メンタルブロック」が外れた状態になって、未来が広がっていくのです。
書くことはとても楽しいものですが、同時に「産みの苦しみ」も必ず訪れます。
その苦しみを乗り越えて書き切るという体験を通して、あなたは今まで以上に自分を信じられるようになるでしょう。
自費出版にはさまざまな成功の形がありますが、書き切ったことで得られる自信と人生の広がりこそが、もしかしたら最大の成果なのかもしれません。
自費出版への不安がある場合は「自費出版は恥ずかしい?」も参考になります。
自分に合ったジャンルを知りたい方は「自伝・自叙伝・自分史の違い」もご覧ください。
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小原晩さんをはじめ、多くの著者が成功をつかんだのは、「出版にチャレンジしたこと」と「自分の想いを込めた一冊を形にしたこと」でした。
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